交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
ヴラディーミル・フェドセーエフ指揮(ソヴィエト)ラジオ・テレビ大交響楽団
1977 (??)
CDK Music CDKM 1021

 これまで購入した中で文句なしの史上最悪CD。オーケストラ名が示すように放送局の音源なのだろうか? 同名オケのディスクでもロジェストヴェンスキーの3番とは月とスッポンである。
 まず車の中で聴いた。開始後1分も経たない内にこもった音が耐え難くなった。いわゆる「風呂場録音」のような凄まじい残響だが、人工的にエコーを付加したように思われる。 トーンバランスもムチャクチャにいじったのだろうか? 三半規管がおかしくなりそうな不自然さで、飲酒しなくても酔っぱらいそうである。PCに取り込んで音声処理ソフトで調べてみると、左右チャンネルの波形が違っているのでモノラルではないらしい。しかし分離は悪い。イコライザで低音を思いっ切り下げ、高音を思いっ切り上げたら何とか聴けるようになった。その補正した音でCD-Rに焼き直せればいいのかもしれないが、残念ながら私のPC環境では不可能であった。こういうCDは買ってはいけない。購入の翌日叩き割った。(もっとも、これぐらい我慢できないようでは、ムラヴィンスキーの悪名高き一部のライヴ録音を聴くのは到底無理なのかもしれない。彼のチャイコフスキーの5番は手に入る限り集めたいのだが、1975年の日本ライヴと1978年のウィーンライヴの音は酷いと聞いて手が出せないでいる。)
 この解説書がまた酷い。意訳するとこんな感じである。「自分に自信が持てなかったブルックナーは同僚の助言のままに改訂を行っていたため、いくつものバージョンが存在することになったが、『後のために』オリジナルも保存していた。このCDに収められた演奏は通常のそれとは違う。なぜならブルックナーのオリジナル・ヴァージョンを使用しているからだ。」 ところが実際に収録されている演奏は何と改訂版なのだ。もうサイテー! このレーベルは旧メロディア音源をリリースしているらしいが、名門の看板に泥を塗るようなことを平気でしている。こういうCDは売ってもいけない。

2004年7月追記
 なんと、この「買っても売ってもいけない盤」がYahoo!オークションに出品され(1000円でスタート)、2400円で落札されてしまった(7月 24日 23時 48分)。この時点ではtowerrecords.co.jpで1460円(税込)で売られているにもかかわらず。「全体に音がこもりがちで、分離が不鮮明」とちゃんと断り書きが入っているので、それを承知で入札した人がクレームを付けることはないだろう。私のように短気を起こさなかったこの出品者は賢明であった。


交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
ヴラディーミル・フェドセーエフ指揮ウィーン交響楽団
98/01
BERLIN Classics 0017102BC

 ということで、自分で書いてて情けないが、上の「買ってはいけない」ラジオ・テレビ大交響楽団盤(CDK Music)を買ってしまったための「敗者復活戦」である。
 なんでもウィーン交響楽団の創立100周年企画として発売されたディスクらしい。ただし、同オケは丁度1900年に設立されているから、この演奏は98年目のものである。許光俊によると地味だが実力はあるとのことである。他にもジュリーニとの2番(EMIとTESTAMENT)、マタチッチとの3番(「紫」ほか)や9番(Amadeo、既所有)、あるいはカラヤンとの5番(ORFEO)などが知られているが、当盤での実力の程やいかに?(2004年8月追記:その後マタチッチの3番METEOR盤、7番HYPNOS盤、そしてカラヤンの5番ORFEO盤を購入した。)
 驚いたことに、第3楽章を除いて「論外」盤とトラックタイムがほとんど同じである。嫌な記憶が頭を過ぎる。けれども聴いてみたらステレオ録音で、しかも原典版(ノヴァーク版らしい)を使っていたのでひとまずホッとした。ただし、原典版第2稿(1878/80)でトータル60分ちょっとというのは相当な快速演奏である。私が所有するディスク(ただしカットのない原典版による演奏)でこれより短いものはレーグナー盤(58分台!)だけである。  いざ聴いてみると、やっぱり第1楽章は速すぎて心地もあまり良くない。「ソーファーミレドシーラ♭ラ」から「ドーソーファミレド」までは前につんのめりそうなテンポである。中間楽章はさほど気にならない。第4楽章も速いことは速いが、聴けないということはなかった。ケース裏に「Live Recording」と書かれているが、臨場感はほとんどない。あの悪名高き「no noise system」でゴッソリ持って行かれてしまったのだろうか?(表記はされていないが。BERLIN Classicsはレーグナー盤では採用している。)
 フェドセーエフはいつもロシアのオーケストラをバリバリ鳴らせている馬力型指揮者というイメージを何となく持っており、それを楽しみにしていたのだが、当盤では彼の持ち味が十分出ていない感じである。まさか上品なウィーンのオケに遠慮した訳でもなかろうが・・・・・許もこの指揮者のことを高く評価していたのでちょっとガッカリである。ということで、復活戦に回ったもののそこでも敗退し、昇級も本戦出場も叶わなかった。この後に残留決定戦があるのかどうかは知らない。(わかる人にはわかる。)

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