Con un Mismo Corazón
1997
Sony Discos CDZ 82563/2-486150

 本作も "Ayer y Hoy"(1994)同様、ポップスよりは圧倒的に民謡寄りである。あるいは伴奏にフルオーケストラを用いたトラックは "Mi México"(1991)に、スリム編成のトラックは "Joyas de Dos Siglos"(1995)を彷彿させる。(実際、それらアルバムの収録曲を彷彿させるようなトラックが複数含まれている。)
 私の評価は今回紹介することになった4作品の中で最も高い。とくにトラック4 "Guitarra mía" が秀逸で、一通り歌い終わってからの「アーアー」(残り30秒ほど)には完全に魅了されてしまった。さらに言えば「満点盤」の "Mi México" とも完成度ではほぼ互角である。ただし時に炸裂するトランペットが騒々しく感じられる分だけ私の好みからは遠ざかっている。また、あちらに入っている例の超弩級名曲(2曲)を聴いた時ほどの強烈なインパクトを受けるようなこともなかった。ということで当盤には97点を付けておこう。おっと、ラスト(トラック13)の "Con un mismo corazón (A dúo con Vicente Fernández)" はデュエットの相手が明らかに格下で興醒めだ。このボーナス・トラックは完全なる蛇足。よって95点。
 レビューはこのくらいにして最後にいらん話を。本ページの執筆のため初めて西および英のwikipediaにてガブリエルのページを閲覧した私だが、彼女が1985年の "Un Estilo" 以降、毎年律儀に(=1度も途切れることなく)1枚ずつアルバムを発表し続けているのを知って頭が下がる思いだった。(92年には例外的に "Personalidad/The best" と "Silueta" の2枚が出ているが、前者はベスト盤だからオリジナル盤製作のペースは不変である。)「ラテン音楽界の金本知憲」という異名を献上しようかという気にもなろうというものだ。
 ただし気になる点がある。両ページに使われていた歌手写真から「巨大化」の徴候が窺えたのである。(要はテレーザ・サルゲイロや夏川りみと同じく水平方向への肥大生長である。)歌手紹介ページ下に記した「ステージ活動からの引退」について確認は取れていないけれども、もしそれが一因であるならばカロリー消費量を増やすために復帰を検討しても悪くないのではないか?(←余計なお世話やろ!)

ガブリエルのページに戻る