グアダルーペ・ピネーダ(Guadalupe Pineda)

Serie Platino
1995
BMG U.S. Latin 74321-33380-2

 年齢不明のメキシコ人歌手(グアダラハラ生まれ)である。2000年9月のことになるが、Kさん主催「マドレデウス掲示板」の常連投稿者Jさんによる「これがまた美声。透明感があって、甘くてかなりいけるのです。」というコメントを目にしたら居ても立ってもいられなくなった。言うまでもなく「美声」という文字に異常に反応するという声質、いや性質ゆえであるが、同日中に職場生協に足を運び注文を入れた。
 届いた当盤を通しで聴いた。確かに美声ではある。だが、これといった魅力は感じられず、したがって歌手に思い入れることもなかった。(今思うに、同時期に入手していたタニア・リベルタッドのあざとさ全開唱法と比べれば没個性的と聞こえたのも無理はないという気がする。)ところが今回久しぶりにケースから取り出し再生してみたところ、節回しはかなり大仰であり、字余り的と響くこともしばしば。のみならず感情過多気味である。何といっても舞踊系音楽(ボレーロなど)でもポップスでも歌い方がほとんど変わらないのは困る。例えばフリオ・イグレシアスも歌っている "Amor, amor, amor"(トラック10)など、もうちょっとサラッと、颯爽としていて然るべきではなかろうか?(16曲目 "Contigo" あたりは適量のネチっこさだとは思うが・・・そういえば、プラシド・ドミンゴ名義の「わがラテンの魂」に収録されていた同曲でも、彼およびアナ・ガブリエルの超濃厚デュエットがハマりにハマっていたっけ。)全20トラック(計70分半)で押し売りスタイル(?)を貫いているから辟易せずにはいられない。それでも下品の一歩手前で踏み留まっているのは歌手がそれなりの品位と実力を備えているからであろう。私の好みからは少々外れているけれども。ここは無難に(メキシコの伝統音楽のファンから顰蹙を買わないように、という意図により)75点としておく。

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