20 Éxitos
1993
KUBANEY CD-368-2T

 当盤は奇数番号のトラックがMocedades、偶数番号が Sergio y Estíbaliz の曲という交互配置になっている。そのお陰でメリハリがあり、"Internaciocal" ほどの散漫さは感じなかった。なお、モセダーデスは代表曲をテキトーに選んだだけだが、セルヒオ&エスティバリスの方は調べてみたら6thアルバム "Canciones Sudamericanas" (1977)収録の10曲をそのままの順番で並べている。本ページではそれらのみ批評&採点の対象とする。
 私もよく知っている "Moliendo café"、"El humahuaqueño"、"Guantanamera"、"Mañana de carnaval"、"Alfonsina y el mar" が収められている。きっと残る5曲も南米を代表する有名曲なのだろう。しかし、初めて聴いた曲の印象はもう一つだった。それどころか、馴染みの曲についても感銘を受けるようなことはなかった。
 この2人のことを「スペインのカーペンターズ」と評しているサイトを見つけた。(作成者自らが「見た目から勝手に命名」と書いている。)男女デュオという以外、何ら共通点を認めることができなかった私は、「何アホなこと」と思ったが、後で判ったことには彼らがファースト・アルバムで "Top of the world" を(それもちゃんと英語で)カヴァーしていたから、先のサイトの「でも実際意識してた可能性大」が当たっている可能性は大いにある。さすがにカレン・カーペンターの安定感抜群のアルトと比べたら格が違うと言わざるを得ないけれど、主にソロ(デュエットでは主旋律)を受け持つE・ウランガの爽やかな声はなかなかに魅力的だ。一方、S・ブランコのソロは少々ナヨナヨした感じではあるもののプロとしての水準はクリアしている。2人のコーラスは美しい。編曲も決して悪くない。にもかかわらず「そこそこ」に留まる。なーんでか?
 結局のところ、既に他の歌手のディスクで聴いたことのある曲の場合、「何が何でも彼らの歌でなければ」と私に思わせるほどの特別な何か ─例えば滋味のような─ に欠けているということに尽きるような気がする。要は私のゼイタク&ワガママであるが、録音時にまだ若かった彼らにそういうのを求める方が間違っているのかもしれない。モセダーデスのヒット曲と南米のスタンダード・ナンバーとを同時に手に入れたいという人には十分薦められる内容だ。よって80点。そうでない人にはやはり60点。間を取って70点とする(玉虫色決着)。
 私としてはやはり彼らのオリジナル曲を聴いて評価したいところだ。公式サイト(www.sergioyestibaliz.com)によると、1973年発表の "Sergio y Estíbaliz" から92年の "Planeta Tierra" まで計14枚のアルバムをリリースしているらしい。試聴したらどれもなかなか良さげである。再発されないかな。日米の「尼損」では在庫切れながら "Sí Señor" が検索結果に出てきたため、中古流出を待つべく予約注文しているのだが。(追記:モセダーデスの紹介ページでも述べたように、公式サイトで紹介されていた無料試聴サイトに利用登録し、全アルバム+1のエキストラ音源を聴けるようになった。どれも素晴らしかった。が、モセダーデス同様に所有していないものは批評対象外とする。要は面倒なだけなのだが。)

おまけ
 上記サイトに加え Amaya Uranga のオフィシャルサイト(www.amayauranga.com)および Iñaki Uranga のオフィシャルサイト(www.inakiuranga.com)も構成がほとんど一緒であることから、同一管理者によると思われる。ところで、それらのリンクページの一番上にあるのは何と El Consorcioの公式サイト(www.el-consorcio.com)である。全て脱会者関係ではないか。さらに驚くべきことがある。本家モセダーデスについてはファンサイト(es.geocities.com/eres_tu2001)のみ掲載し、公式の方は無視するという徹底ぶりだ。これには何ともいえないエグさを感じてしまった。

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