Antología ─ Sus 30 Grandes Canciones
1996
Sony LATIN C2D-81372/2-476970

 既に述べたが、この2枚組ベストでは "20 de Colección" でライヴ音源が用いられていた"Desde que tú te has ido"、"Le llamaban loca" および "Dónde estas corazón" の3曲にスタジオ録音を用いている。そして、これらの出来はずっと良い。それは救いだったが、多数の曲が重複しているのはやはり痛い。またコンサート音源を使用した数曲、特にBMG時代の持ち歌の再録音は印象サッパリだ。(例外は既に他ページで触れた "Tómame, déjame" と "Pange lingua" である。デビューアルバムではフラフラ音程に辟易させられた後者だが、さすがにベテランの域に入った男性陣は無難にソロを勤め上げていた。)
 当盤の曲目リストの横に私は赤ボールペンで×印を書き加えている。 "20 de Colección" との重複や男声主体で価値を認めないもの、アマヤ・ウランガの声変わりによって聴くのが辛いもの。そういった曲を除いてプログラミングするためのトラック番号を下に書いているのだが、数えてみると全部で13しかない。30曲入りでこれだけというのは相当悲しい。なのでサッサと次に移ることにするが、DISC1トラック6 "Cuando tú nazcas" について少し。ベートーヴェンの交響曲第7番の第2楽章、いわゆる「不滅のアレグレット」をアレンジしている。モセダーデスはクラシックの編曲を得意にしているが、この曲はかつてBMG時代にも "Dieron las doce" の題材に用いている。よっぽど気に入っているのだろうか? (こうなると「悲愴」ソナタの第2楽章でも試みてほしかった。)それはともかく、最初の段落で触れた3曲と並んで当盤収録曲としては上出来の部類に入る。が焼け石に水である。この時点で65点。また全体的に音がこもりがちで、"20 de Colección" と比較すれば明らかに音質は劣る。マイナス10点。さらに "Amor de hombre" のトラックタイムが両盤で30秒強も違うのが気になったが、当盤の方が不自然さを感じるほど高い声である(他曲とも聴き比べた印象)。早回ししているのは明らかで減点せざるを得ない(−5)。結局50点という厳しい評価になってしまった。

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